定点観測

働くって,問い続けること?

今日は書く気が起こらない.
生来面倒くさがり屋で,できれば一日中ゴロゴロしていたい性分だから,自分自身としては仕事している方が不自然だ.

そんな私が毎日バタバタしているのは,人から仕事を頼まれるからで,それに応えなければいけないという強迫観念のようなものに突き動かされているからだ.応えたいと思いたい,と言った方が正確だろうか.
それが今では,地域社会から仕事を頼まれているような錯覚まで起こしていて,この強迫観念は「社会的使命感」とカッコよく表現することもできるけれど,つまるところ,仕事のモチベーションの源泉は自分の外にある,ということだろう.

この感覚には似たようなものがある.
それは,ボート部を引退した4年生の頃から支配されている,食事はできるだけたくさん食べるべきという強迫観念だ.引退から20年経った今でもまだ薄っすらと支配されていて,それが今の体型を作り上げてしまったわけだ.莫大なカロリー摂取は必要ないのについ大盛りにしてしまうのは,「食事もトレーニングの内」という,勝利という成果を出すことを使命として課されたアスリート意識が抜けないからだろう.もしかすると,仕事を競技やトレーニングのように認識してしまっている部分もあるのかもしれない.

様々に背負っている仕事に勝ちも負けもないし,その結果がどんなものであっても人の生き死に関わるようなことはない.巻き込んでしまった人たちに多少の混乱をもたらす可能性はあるが,引いて考えてみれば,元からそんな仕事は無かったものだと思えば大した影響はない.それでも,「結果出さなきゃ」という強迫観念が圧をかけてくる.

こうして,書く気が起こらないのに書いている.
仕事に対するモチベーションに関する研究は星の数ほどあるが,どういうモチベーションの持ち方が各自に適合的なのか,までは明らかになっていない.
「仕事できてるんだから,とりあえずそのままでいいんじゃね?」という意見もあるだろうが,モチベーションが自己産出できないこんな日は,「働くって何だろう?」と考えてしまうものだ.

あ,こういう問いは自己産出できているか.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。