定点観測

最高の会議

某町のスポーツ推進計画策定委員会の委員長を拝命し,3回目の会議.
今回は,計画の中身に大きな影響を与える町民スポーツライフ調査の内容を検討する会議だった.

事務局から依頼を受け,調査票のたたき台を用意させて頂き,事前に全委員に送付して見てもらっていたが,会議で意見が出るわ出るわ,協議の進行役でもある委員長として振らなくていいくらいどんどん手が挙がる.
スポーツ関係者だけでなく,保育園園長会,小中学校校長会,PTA連合会,地域学校協働活動推進員,社会福祉協議会の会長,社会教育委員,青少年育成活動連絡会,障がい者相談員も参加する委員会だから,それぞれの立場からの意見はもちろん,回答する町民の立場からの意見も出てくる.終いには,集計作業をするのが町役場の職員だとしたら倒れてしまうのではないか,といった意見まで(私が集計・分析・報告をするので,データ入力は業者に外注する予定).

そして,調査票はどんどん良くなった.

こういう会議はいい.なかなか出会えるものではない.
委員構成の多様性が意見の多様性を生んでいて,それでも発言権に差がなく,全員が意義のある調査をしたいと思っていて,互いに否定しない.意見が割れたら,どうしたらいいかなぁ,と全員が考える.
会議が終わると,各々が脳みそを使い切って疲れていながらも高揚した表情で会場を後にする.

行政が立ち上げる会議体の委員長を引き受けると,どうファシリテートしようかと考え,色々と策を弄するのが常だが,3回目の会議にしてファシリの必要がない状況だ.

年度末には計画策定が完了していなければいけない.
調査するのが遅い(そもそも委員会の立ち上げが遅い)のだが,この方々ならトップスピードで走り続けられるだろう.そして,スポーツ推進計画とロードマップ発出後も各現場で計画を活用して頂けるだろう.

それにしても,この委員会が高質な対話場になったのは,何が原因だろう.
1回目,2回目の会議で大したファシリはしていない.あえてラフな服装で参加し,ラフな話し方をしている程度だ.
メンバー構成や関係性がたまたま良かったのだろうか.
メンバーがこういう場への臨み方を身に付けているのか,この町の町民がそういう気質を持っているのか.
それが分からないと,他地域に転移させることはできない.町民アンケートより,そちらの方が気になって仕方ない.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。