定点観測

理想のまちにほしいもの16:フラッと入ったら知り合いがいるバー

第16回は,「フラッと入ったら知り合いがいるバー」.

飲食店,特にバーのようなお店は,店主や他のお客さんとの交流機会が得られることが重要な価値だ.
そういう場は,かっこよく言えば「サードプレイス」で,まちがもつ多様性に触れられる唯一無二の交流空間だ.

バーは主にお酒を飲むための場所で,一次会の前か,あるいはひとしきり食事をした後に,その時の心持ちや空気でフラッと訪れる場だろう.
店主とは間違いなく言葉を交わせるから,それでまずは十分なのだが,そこに知り合いがいてしばらく対話できると時間の価値が一気に高まる.その出会いが偶然であればあるほど,価値が大きい気がする.

大きなまちほど,その偶然性は高まるが,だからこそ,知り合いに会うと驚くし,その共線性(どこかでつながっている感じ)に嬉しくなるものだ.
「あの人は,この時間ならたぶんあのバーにいるだろう」という予測ができるのも,それはそれで安心感があって楽しい.

いずれにしても,サードプレイスとしてのバーはまちに必要だ.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。