定点観測

理想のまちにほしいもの27:緩やかに共有されている実験志向

第27回は,「緩やかに共有されている実験志向」.

まちは人の加齢や誕生,入れ替わり,文化の変容に伴って,日々変わり続けている.
不易流行と言うまでもなく変わらないことと変わることは当然あるのだけれど,変わらないことは変わる社会の中にあって「変わらない」という対応策で,その存在の位置づけ(意味づけ)や価値は社会の中で移ろうから,ある意味変わり続けているとも言える.

そういう意味で,まちは「実験してみよう」という志向性を緩やかに共有していたい.
 こう変えたら,どうなる?
 変えなかったら,どうなる?

わたしたちは正解を出すための教育を受けてきているから,不正解や間違いや失敗を避けたがる傾向がある.
しかし,どう変わっていくのか分からない社会にあって,この時点では,何が正解なのかは誰にも分からない.だから,不正解も間違いも失敗もないはずだ.結果として,「こうじゃなかったね・・・」となっても,そこから軌道修正すればいい.

色々な立場の人たちが,実験してみよう!と動き出すまちは,きっと未来を創り続けられる.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。