定点観測

理想のまちにほしいもの28:緩やかに共有されている楽しさ追求志向

第28回は,「緩やかに共有されている楽しさ追求志向」.

まちを動かし,人を動かすエネルギーの源は,楽しさだと思っている.
勉強や仕事,地域活動に関わる事柄が半ば義務のように課せられたものだとしたら,なかなか楽しめないのかもしれないけれど,楽しい!と感じられる方がパフォーマンスは高くなるはずだし,結果として成果も高くなるだろう.

楽しいと感じられるためには,できるかどうか分からないという状況や,それをすることそのものに没入(フロー体験)できる状況,あるいは結果(成功や失敗)に関わらずそれをすることに意味や価値があることが必要で,つまり一種の遊びになっている必要がある.

勉強も仕事も地域活動も,何らかの成果が求められるけれど,要求される成果をゴールにするのではなく,楽しいと感じられることをゴールにすればいいと思う.成果は自ずと付いてくるはずだし,成果が出なかったらまた次の楽しさが待っている,と思いたい.

そういう楽しさを追求する志向性がまちに緩やかに共有されていれば,まちは楽しくなるし,クリエイティビティが高まるだろう.前回の「緩やかに共有されている実験志向」にも通じる.
やはり,まちは隅々まで楽しい方がいい.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。