定点観測

コロナ禍で削られるまちの文化的成熟度

多様な他者との出会いや交流の価値と,それを引き起こす非公式で自由な場やスポーツやアートのようなエッセンシャル(人々の生活にとって必要不可欠なこと)ではないことの価値は,コロナ禍が厳しくなるほどはっきりと感じられる.

オミクロン株の感染拡大が激しくなっている今,エッセンシャルワーカーへの影響とそれが社会全体に与える影響が大きい,と声高に語られている.
確かにそうなのだが,その陰で,エッセンシャルでないことがシャットダウンされることは仕方ない,と見過ごすことが許される空気が生まれることを危惧する.

社会に折り合いを付けない生き方ができるまちの包容力や,効果性や効率性,利便性に流れないものをたくさん抱えておけるのが,まちの文化の成熟バロメーターだろうな,と思う.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。