定点観測

卒業論文はなぜあるか?

いよいよ,卒業論文が佳境だ.

ゼミの4年生たちは,今まで書いたことのない量のテキストを書き(打ち),今まで使ったことのない脳領野をフル回転させて調査結果とにらめっこして,考察していることだろう.

卒業論文は学術論文として認められるものではないけれど,次の条件を備えていれば立派な研究だ.
・独自の問題認識に基づいて研究目的が設定されていること
・研究目的に社会的・学術的意義が見出されていること
・研究目的を達成するために適当な研究方法が設定されていること
・オリジナルデータが収集できていること
・論理的に妥当な考察ができていること
・新たな研究課題が提示できていること

学部生が研究を立ち上げ,展開し,卒論としてまとめる仕事は,研究するためというより(もちろん単位取得のためでもなく),社会の問題を発見したり,誰も気付いていない問題を提起したりして,その問題を理解し,解決する方法を考える力を身に付けるためだと思ってる.
そして,何より問題を「確かにこれは問題だ.何とかしなければ」と考えられるようになるために,問題が起こっている状況に腹の底から関心を持ち,問題そのものの深い理解に到達し,そして問題が解決された近未来への期待を抱く経験をするためだと思っている.

1月末の卒論提出まで,あともうひと踏ん張りだ.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。