定点観測

大学入学共通テストのいいとこ

大学入学共通テストが始まった.
入試に課している大学・専門職大学・短期大学は全国で864校もあって,大学等を受験する高校生の多くが共通テストを受験する必要がある.大学入試センターによると,今年度は全国で53万367人(現役高校3年生の45.1%)もの高校生が受験している.

受験生は知らない教室に詰め込まれ,緊張の中,2日間で10時間50分も問題を解き続ける.トイレに行くのも許可をもらわなければいけない中で.
そんな2日間の53万人分のエネルギーは計り知れないくらい大きい.共通テスト対策の勉強に費やしたエネルギーも合わせたら,まちひとつが動かせるくらいじゃないかと思う.
共通テストの実施に際して働いている人員も多い.試験監督も10時間50分に漏れなく付き添うし,バックヤードにも多くのスタッフが関わっている.

これだけのエネルギーとコストを費やしている共通テストにはどれだけの意味や効果があるのだろう,と思いながらその現場にいた.そこで,共通テストのいいとことダメなとこを考えてみたい.まずはいいとこ.

入試に課している大学としては,共通テストは受験生の学力を客観的かつ相対的に把握できるからとても便利だ.
全ての受験生の学力を,自ら問題を作成して採点することなく上から並べられる.各教科の得点を倍にも半分にも換算できて,2次試験の得点と足し算すれば合格者が決められる.

受験勉強する側も(受験生を教える側も)試験対策しやすい.
高校で学ぶ内容を超えることはないし,特別な入試改革がない限り出題傾向は何となく読める.

入試をする側にとっても,入試を受ける側にとっても,受験勉強させる側にとっても,大学入学共通テストは便利なものだ.

次回は,共通テストのダメなとこを考える.
※なおこの記事は,執筆者が大学入学共通テストに関わっていることが口外できないため,終了後に公開しています.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。