定点観測

大学研究者として培った能力は案外使える

合同会社Sports Driveとして,初めてプレスリリースというやつをした.

これまで,大学内外の仕事で,私が作成したプレスリリース文書を記者クラブへ投げ込みをしてもらったことはあるが,リリースそのものも自分の手でやったのは初めてだ.

世の中には便利なサービスがあるもので,全国の新聞社や雑誌社,テレビのキー局から大手ウェブメディアからフリーペーパーの編集担当に対して,ポチっとしたらメールやFAXでリリースが送れる.今回はPRTIMESというサービスを利用した.創業2年以内は(審査があるけれど)無料だというから驚きだ.

リリースした内容がメディア関係者に関心を持たれなければ記事にしたり,取材したりしてもらえないから,「お,これは興味深い」と思ってもらえるような説明文が必要になる.
その感覚は,科学研究費の助成を申請する研究計画書を書くのと似ていて,案外,本文は苦労せずに書けた.
最も苦労したのは,タイトルだ.

今回は,「日本初!現役プロ・スポーツ選手の長期インターンシップ・マッチング事業開始!」という大々的なタイトルを付けてみた.
この事業の大切なポイントや他にはない要素,新しさを100字以内に収めるための言葉選びは,「盛り込む」というより「削る」作業だった.
また,PRTIMESでは,メディア各社に配信されるメールのタイトルにもなるから,メールを受け取る人が開くブラウザやメールアプリのサイズによっては,タイトルがすべて表示されない可能性もあるから,最初の10文字くらいが重要になるのではないかと考えた.効果が出るかどうかは,取材依頼がどれだけくるかで分かるだろう.

一対一の対面で話せば,多くの言葉と表情や身振り手振りを駆使して伝えられる.どちらかと言えば,その方が好きだし,得意だと思っている.
しかし,特定多数の相手に瞬時に伝えるには言葉が必要だ(映像という方法もあるが,Youtuberになる気はない).その言葉は,私の(中にしかない)言葉を相手の(中にある)言葉に翻訳したものだ.
そう考えると,大学生を相手にした授業や研究者以外の人たちを相手にした講演の経験も生きたのかもしれない.

研究者は,異質な他者に伝えることを仕事のひとつにしているんだ,とプレスリリースを書いてみて気付いた.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。