スポーツと栄養

野山を走る薬剤師 立花さんのお薬コラム③「プロテインってそもそも。。。」

 みんな大好き?トレーニングの友「プロテイン」。最近は、用途が多様化し、フレーバーも昔に比べると選択肢。プロテインバーやプロテインドリンクなどコンビニで簡単に買えるようにもなりました。そんなにおいしくはないんだけど、飲めばなんだか強くなった気がする〝魔法の粉〟について、岡山県トレイルランニング協会理事で、スポーツファーマシストの立花さんに解説してもらいましょう。(岡山県トレイルランニング協会HPからの転載です)

 

 今回のテーマは、世の中に溢れている「プロテイン」について。

 まず、プロテイン、プロテインと言いますが、英語で「タンパク質」の事で、アミノ酸がたくさんくっついたものなんです。ジュニアプロテインとかダイエットプロテインとか用途別に色々とありますが、実際のところどうなのでしょう?監督・コーチから勧められたり、同じ競技の一流アスリートが飲んでいたりするケースや、周囲のエリート競技者が飲んでいるのを真似するケースも多いと思います。

 スポーツ栄養学の権威である鈴木志保子先生が書かれた本によりますと、1日に必要なタンパク質は運動の量によって変わってきます。

 高強度の運動をしている人でさえ、1日に摂るべきタンパク質は体重1kgあたり2gまでです。マラソンなどの持久系トレーニングをしている人は、体重1kgあたり、1.2gから1.4gとなっています。つまり、1日に体重1kgあたり2g以上摂っている人は過剰摂取の対象となり、肝臓と腎臓に負担をかけることになる訳ですね。これを体重50kgで考えますと、マラソンランナーの場合でもタンパク質を1日に70gも摂れば充分な量となります。

 70gと言われてもピンとこないと思いますので、一般的な食品に置き換えてみましょう。

 《タンパク質の量》

ササミ100g→23g

牛もも肉100g→21.2g

豚ロース100g→21.7g

牛乳100ml→3.3g

豆乳100ml→3.6g

ご飯1合→8g

卵1個(50g)→6.2g

納豆1パック→約8g

となります。ある程度動く人なら牛肉200gくらいは食べると思います。つまり、それだけでも40gを超えるのです。

 ちなみに僕は、朝食にほぼ毎日ご飯と納豆と卵を食べています。牛乳もしくは豆乳を毎日200mlは必ず飲んでいます。

 その食事例で計算してみましょう。

牛肉200g→42g

ご飯1合(1日)→8g

卵1個→6.2g

納豆1パック→8g

牛乳OR豆乳→約7g

 その他の食品にもタンパク質は含まれていますが、これだけで考えてもすでに70g以上のタンパク質を摂取していることになります。

 これに加えてトレーニング後にプロテインを飲んだらどうなのでしょうか?

 代表的なのが牛乳200mlで割る飲み方ですが、それによりさらにタンパク質が7g加わる事になります。プロテインの量が1回の推奨量で大体15gほどのタンパク質を含みますので、先程の食事例と合わせて、ほぼ100gのタンパク質を摂ることになり、50kgの人でも運動量から考えると過剰摂取に近い状態となります。

 食事がなかなか摂れない大会会場や、遠征先でバランスのいい食事が出来ないなどの理由があれば別ですが、普段のトレーニングにプロテインを摂る必要はなく、毎日の食生活に気をつければ、充分に「プロテイン(タンパク質)」は摂れるのです。 結局のところ一番大切なのは食事だと考えます。