定点観測

中心市街地はウィルス危険地帯か?

コロナ禍が多少落ち着いて宣言や特別措置が解除された後も,まちに飲みに出かけるペースが掴めずにいる.
まるで,中心市街地や飲食店がウィルスが蔓延する危険地帯になったような感覚だ.
県内の新規感染者が数人になった今でも,「会食は4人まで」という基準が適用されている企業も多い.
なぜ4人までならいいのか,なぜ会食だけはダメなのか,よく分からないが,さもそれが守らなければいけないルールのように流通している.

その原因の中心は,感染の拡大と終息に関するエビデンスが不足しているにも関わらず,メディアが政府見解を根拠にただ恐怖を煽るだけの報道を続けたことと,市民として自律的に意思決定するための情報が分かりやすく開示されなかったということがあるのではないだろうか.

現時点で,まちに対してコロナ禍がもたらしたものは,
・自治体が発出する宣言や特別措置とそれを受け入れて設定されるルールを理由に意思決定する盲従的な市民を生み出したこと
・中心市街地と飲食店をウィルスが蔓延する危険地帯に仕立て上げたこと
だろうと思う.

まちはリアルな行為空間であると同時に,イメージ空間でもある.
そこに暮らす人にとってのまちのイメージと,そこを訪れる人にとってのまちのイメージは,当然異なる.
飲食店経営者をはじめとしたまちなかを生活拠点にする人たちにとって,日常生活圏が危険地帯になることは心理的負担が大きすぎるから,正常性バイアス(自分だけは大丈夫と思う認知バイアス)が働きやすくなるはずだ.
一方,まちなかの事情が他人事な域外者にとっては,マスコミ報道で流布される危険性が世間一般に共有されているものだと考えるから,バンドワゴン効果(多くの人が支持することは正しいと思う認知バイアス)が働いて必要以上に恐怖することになる.

いずれにしても,新規感染者数や重症者数といった数値だけを根拠にした自律的な意思決定は難しく,わたしたちには認知バイアスが働いている.
情報がすべて揃えば自律的に妥当な意思決定ができるのか,という問いはよくよく考えないといけないが,少なくともひとりの市民として,自分で考えて,自分で決めて行動したいものだ.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。