定点観測

原油とスポーツ,OPEC+とまちづくり

ガソリンスタンドに表示される価格の上昇が止まらない.
車移動が多い者としては少々つらいところ.

世界中のあらゆる産業に不可欠なエネルギー源である原油は,一部地域でしか産出されないから,その価格は産油国がどれだけ原油を掘り出すか,にかかっている.
その産油量を国際的に意思決定し,価格の安定化を図るための機関がOPEC(石油輸出国機構)で,現在,イラン,イラク,クウェート,サウジアラビア,ベネズエラ,リビア,アラブ首長国連邦,アルジェリア,ナイジェリア,ガボン,アンゴラ,赤道ギニア,コンゴの13カ国が加盟している.最近ニュースになっているOPEC+とは,OPEC加盟国にロシアやカザフスタン,メキシコ等の10カ国を加えた協議体だ.国際的な原油高に対して,追加増産が決まるかどうかが注目されたが,少しずつ増やすという決定になったようだ.

産油国は,掘り出す量を減らせば原油価格が上がるから,収益は大きくなる.
一方,輸入している国はたくさん掘り出してもらって原油価格を下げてほしい.

一見,産油国の幸せと原油消費国の幸せのせめぎ合いのように見えるが,本質的にはわたしの幸せとみんなの幸せのせめぎ合いと捉えるべきだろう.
OPEC+は国家間協議だから極めて複雑な関係性がそこにはあるが,原理的にはスポーツまちづくりと同じだと思う.
原油をスポーツに置き換えたら,産油国はスポーツサービス生産主体(プロ・スポーツクラブやフィットネスクラブ,学校や地域スポーツクラブなど)になる.
その先は読者の想像の拡がりと深まりにお任せするが,ステークホルダーが各自の幸せしか考えなくなったら,まちとスポーツは崩壊するだろう.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。