定点観測

国のスポーツ予算なんて小銭程度?

新政権が18歳以下の子どもを対象にした10万円相当の給付を決定した.
年内をめどに5万円の現金、来年春までに5万円相当のクーポンを配るという.
世間ではバラマキだという批判もあるようだし,所得制限を設けても9割の世帯が対象になるらしく,その是非について,この日,メディアはこぞってトップニュースにしていた.

この給付金の総額は2兆円ほどだ.
その対象者は,2021年10月時点での人口推計(総務省統計局)によると1,923万人程度と推定される.

一方,わたしたち国民は,その25倍以上ものバラマキを受け入れてきた.
公的年金だ.その対象者は4,067万人で,総額は52兆5,925億円.これは毎年支払われ続けるし,増加傾向にある.

こう比較すると,2兆円なんて大したことない金額のように思えてしまうが,そもそも富の世代配分バランスや未来への投資ということを考えれば,どこか根本的におかしい話だ.
さらに,スポーツ庁の今年度予算は354億円文化庁の予算は1,075億円だから,国がスポーツや文化にかけるお金なんて,もはや小銭程度だ.

国家予算がどのように振り分けられているか,国の富がどこにどれくらい配分されているか,ということに無頓着でいると,政治家も,官僚も,集めた税金を好き勝手に使い始める.コロナ給付額とその対象が政権与党のトップ2人の相談で決まってしまうことがその証左だ.国民はナメられている.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。