定点観測

理想のまちにほしいもの25:自由に動き回り,変革を起こす行政職員

第25回は,「自由に動き回り,変革を起こす行政職員」.

行政組織は時に意思決定が遅く,変革が起きにくいと言われる.
そんな中でも,まちを自由に動き回り,担当する職務領域を逸脱して様々な人たちとつながり,自身が関わる事業に新しい風を吹かせる職員がいる.そんな人を,私は愛着と敬意をもって「変態」と呼んでいる.

民的・共的セクターが主導するまちづくりも必ず行政との連携が必要になるから,そんな変態職員はまちづくりに変革を起こすためのキーパーソンになる.固い行政組織の中で異端児扱いされることが多いけれど,まちにとっては貴重な人材だ.

変態職員は,元々変態な資質を持った人か,あるいは変態に影響を受けて文字通り変態した人だ.
とは言え,変態を忌避する組織文化が強いと変態は排除されていくはずだから,そうした変態が少なからず活躍できている行政組織には一定の包容力があると考えていいだろう.

変態職員は得難いが,少なくとも各局にひとりはいてほしい.そして,行政組織には変態を許す包容力を持っていてほしい.「この案件はあの変態に話をしてみよう」ということになれば,民的・共的セクターと官的セクターとの連携は一気にスムーズになる.そんなまちは楽しい.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。