定点観測

赤ペン先生の卒論紹介③:トップアスリートのSNS

今回は「アスリートのSNSにおける発信内容とそれに対する大学生の受け取り方:Instagramに着目して」.

トップアスリートがInstagramで発信する内容と,それをInstagramを多く利用している大学生がどれだけ受け取っているかを分析し,トップアスリート個人によるSNS発信の効果等を明らかにした.

分析対象にしたトップアスリートは,①現役選手であること,②日本代表選手として五輪出場経験があること,③Instagramを始めて3年以上たっていること,④投稿数が100投稿を超えていること,⑤フォロワーが10万人以上いること,⑥活動拠点が日本であること,という条件で,個人競技の男女1名ずつ(桃田賢斗,池江瑠花子),集団競技の男女1名ずつ(長友佑都,町田瑠唯)を抽出した.

全アスリートに共通して競技や仕事に関係している項目が多く,プライベートの項目は少なかったが,団体競技では,チームワークや一体感を表現する内容が競技中の写真から発信されており,個人競技では,スポンサーやマスメディアによる宣伝の写真が多く発信されていた.また,女子アスリートは男性アスリートに比べて,私生活の様子の発信が多かった.

一方,大学生は競技中の写真や宣伝に着目していて,パーソナルな人というより,アスリートとして見ていることが明らかになった.池江選手はファッションなどの容姿に関わる発信が多かったものの,大学生はその内容を重要なものとして受け取っていなかった.
有名トップアスリートは,アスリート的側面以外のパーソナリティをSNSで発信(ブランディング)することは難しいのかもしれない.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。