定点観測

赤ペン先生の卒論紹介⑤:プロ下部組織への誘いを蹴った高校進学

今回は「プロサッカー下部組織ではなく高校部活動を選択する理由」.

プロサッカー下部組織への誘いを蹴って高校サッカー部を選択した人の理由を明らかにした研究.プロ化が進むスポーツ界ではユースチームの設立が進んでいて,競技力向上の場が高校部活動からプロ下部組織に移行してきている.そんな中でも高校部活動を選ぶ理由を理解することで,部活動の現代的な意味や期待を明らかにしようとするもの.

サッカー部を選んだ調査対象者は,高校部活動をはじめとした指導者との出会いや家族の影響を受けながら,プロ下部組織に対するマイナス意識を持ったり,選手権への憧れや力試しという意識や,学費やセカンドキャリアのことを考慮にいれつつ,人間的な成長を期待することでサッカー部を選んでいた.

中学生アスリートがセカンドキャリアや人間的成長のことを考えて高校進学することは先行研究でも明らかにされてきたが,セカンドキャリアに対する問題意識を中心に,教育力についてプロ下部組織と部活動とをしっかり比較していることが明らかになった.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。