定点観測

赤ペン先生の卒論紹介⑥:運動会のソーラン節はなぜ拡がった?

今回は「体育的行事のイノベーション普及に関する研究ー岡山県内中学校の体育的行事としてのソーラン節の拡がりに着目してー」

岡山県内の中学校の運動会でよく行われるソーラン節が,県内でどのように広がっていったか,というイノベーション普及研究.インタビューした方に,その人にソーラン節を伝えた人を紹介してもらって源流を遡るスノーボールサンプリングで調査をしたもの.

岡山県北地域では研修会が重要な役割を担っていて,そこから先は近隣の学校同士の口コミで拡がっていた.1990年後半から始まり,98年と2000年の研修会をきっかけに各学校へ急激に拡散していた.
岡山県南地域では,同時期に開始され,近隣の学校間で資料を共有したり,小体連が発行した冊子や研修会での教員同士の情報交換などを通して拡がっていった.
いずれの地域でも,運動会での盛り上がりや指導のしやすさ,危険性が指摘されていた組体操に代わるものとしてソーラン節が受け入れられていた.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。