定点観測

プールはなぜあるの?

プールは,実に不思議なスポーツ施設だと思う.

建設するのも維持するのも,かなりの費用がかかるわりに,利用目的は,競泳か水球か水中運動,あるいは子どもたちの水遊びに限定される.体育館のような多目的施設とは違い,運動・スポーツの種類を限定する専用施設だ.

しかし,プールのない市町村はあまりないし,少なくとも小学校には必ずプールがある.
それだけ,プールという施設は,この国にとって重要なインフラと認識されているのだろう.
一方,バレーボールやバドミントンといったネット型スポーツ専用施設や,サッカーやハンドボールといったゴール型スポーツ専用施設というのはほとんどない.そういえば,テニスや野球・ソフトボールという種目にも専用施設があることを,今思い出した.

なぜ,専用施設ができる種目とできない種目があるのだろう?

専用施設が用意される種目は,専用施設がないとできないからだろうか?
サッカーだって,バドミントンだって,わざわざゴールやネットを入れ替えて多目的施設を一時的に専用施設に変えている.大きな箱型施設に水を張ったり,人工芝や土のグラウンドにテニス用ネットを張ればいいのではないか?

水泳が,日本を取り囲む水辺の安全性を高める上で大切だからだろうか?
では,テニスや野球も同じ?サッカーやバドミントンは重要ではない?

専用施設をつくるように,その種目を支援する政治家がロビー活動をしたのだろうか?
サッカーやラグビーにも支援する政治家もたくさんいそうなものだ.

スポーツには不思議がいっぱいだ.

今日から水泳の集中授業で,一日中,屋内プールにいる.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。