定点観測

水浴びできる小川は,小さなスポーツインフラ

夏休み最後の週末,きれいな小川の流れる公園は家族連れで賑わっていた.

この場所は,岡山市の外れにある知る人ぞ知る公園で,キャンプのできるスペースやサッカーやグラウンドゴルフができる天然芝のフィールドがある.この日も地元のサッカークラブと思しき子どもたちが練習に訪れていた.

グラウンドの芝生はきれいに刈られているし,キャンプ場を含む周囲の土手も,公衆トイレも駐車場も,きれいに掃除されている.小川は子どもたちが自由に遊べるように整備されていて,水遊びが楽しい.
この公園は,岡山市が管轄するものだが,日常的な整備・清掃は地区の人たちによってなされているらしい.

こうした「小さなスポーツインフラ」は,そこかしこに生み出せると思う.
外から多くの人たちに来てもらう必要はない.地元地域の人たちがリフレッシュできる空間が,その人たちの協力で整備されるだけで,その空間の存在は地域住民の身体と心を支え,地域での生活を豊かにするインフラになるはずだ.
そこが,子どもからお年寄りまでの全世代にとって魅力的な場所なら,地元住民を集わせる引力を持つだろう.

あちこちにある街区公園も,地区の集会所も,小川や河川敷,古びた神社のある森や里山も,「小さなスポーツインフラ」として活用できるといいなぁと思いながら,小川にじゃぶじゃぶ入って遊んだ残暑厳しい一日だった.

なお,「小さなスポーツインフラ」のひとつのモデルケースは,<スポーツと地域>に掲載したコラム「オリンピック開幕の今だからこそ考えたい地域スポーツの〝力〟」に登場している.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。