部活動廃止?(上)ー部活動改革の最先端ー
今日は,岡山県の地域部活動推進に関わる中学校と高等学校の部会に委員長としてオブザーバー参加だった.前日にショッキングなニュースが飛び込んできたので,頭がぐるぐる回っている.部活動を将来的に廃止する方向で議論が始まった,というのだ.
多くの人が部活動を経験していると思う.その部活動が3年前から揺れている.
2018年3月には国からガイドラインが示され,各都道府県が練習日数や時間を削減する独自のガイドラインを策定し,すでに各学校に示されている.
そして,昨年9月には学校教員の働き方改革のために,主に休日を地域と連携して実施する「地域部活動」が提案され,一部の自治体で推進に関わる検討が進んでいる.今日の会議もそのひとつだ.
ほとんどすべての人が考えている通り,部活動は学校という教育機関の中で行われるクラブ活動だ.学習指導要領総則にも「学校教育の一環」と明記されている.多くのスポーツ種目は,学校の体育施設で,教員と外部指導者(現在は,単独指導・単独引率が可能な部活動指導員に移行しつつある)が指導する形で活動している.
一方,水泳や体操といった一部の競技は,従来から民間スポーツクラブを中心に活動が展開されていて,学校代表として大会に出場するために,名目上の部(名前だけの部)が用意されているという事実はあった.サッカーは,地元のクラブが中学生・高校生年代のチームを保有していて,学校のサッカー部に入部せずにユースチームで活動する生徒も多い.
そうした現状にある部活動だが,休日のみの地域移行(現状では,これを「地域部活動」と呼んでいる)を経て,将来的に地域に完全移行する方向の議論がスポーツ庁内の「運動部活動の地域移行に関する検討会議」で始まったようだ.
休日であっても,それが「地域」という前置語を加えたとしても「部活動」として活動される場合,学校教育上の機能や意味を有することに変わりはないはずだ.地域への完全移行に向かうとしたら,部活動の学校教育上の機能は消滅することになる.
確かに,ガイドラインや地域部活動という部活動改革は,教員の働き方改革を発端に始まったものだ.早朝や放課後の遅い時間,休日という勤務時間外の部活動に教員が参加するのは大変だ.それにも関わらず,「公立学校の管理職以外の教員には,労働基準法第37条の時間外労働における割増賃金の規定が適用除外となっており,時間外勤務の時間数に応じた給与措置である時間外勤務手当が支給されず,全員一律に給料に4パーセントの定率を乗じた額の教職調整額が支給されている」(文部科学省).
休日の部活動指導は,学校教員が過重労働に陥っているということの根拠のひとつだ.
もし,部活動が,教員が教員として関わらず,学校という教育制度の枠外で活動されるのであれば,それは部活動の消滅を意味する.