定点観測

飲みニケーションのエビデンス

コロナ禍が大きく落ち着きを見せている.
その間隙をぬって,LIFESの編集・執筆・クリエイティブのメンバーと久しぶりの会議,というより飲み会を開催.

それぞれが忙しく仕事をしていて,集まって飲むことで近況が分かるし,この「定点観測」のあり方やLIFESの今後の展開について話すことができた.対面のコミュニケーションは必要不可欠だ,と再確認した.

「飲みニケーション」はオヤジ用語だが,確かに,美味しい食事とアルコールのコミュニケーションを円滑にする効果は大きいと思う.
しかし,論文検索しても,アルコール摂取とコミュニケーションの関係性に関する研究は見つからなかった.これだけ経験則として共有されているだろうことが研究対象にならないのは,アルコール摂取がどちらかというとネガティブ寄りに扱われるからだろうか.

加藤(2018)によるマウス実験でも,少量のアルコール摂取が様々な疾病リスクを低下させる効果(Marmotらが提唱したJ-カーブ効果)は実証されている.
少量というのは,健常の日本人男性の場合,一日に清酒一合を飲む程度(純アルコール換算で20g/日)だという.ビールだと350ml缶で2,3本程度だ.一般的な生中ジョッキも,泡を除くと350ml程度だから2,3杯なら適量だ.この基準を超えると,様々なネガティブな影響があるという報告はたくさん見つけることができる.ちなみに,厚生労働省「健康日本21」によると,多量飲酒とは純アルコール換算で60g/日以上とされている.生中ジョッキ6~9杯といったところか.

昨夜の酒量は明らかに多量飲酒だったが,だからこそコミュニケーションが深く,広くなったと感じる.
誰か,アルコール耐性と酒量とコミュニケーションの関係について研究してくれないだろうか.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。