定点観測

Sport in Life

スポーツ庁が「Sport in Life」というプロジェクトを展開している.

その理念・ビジョンを体現する取り組みを表彰する「Sport in Lifeアワード」の第一回表彰式が開催され,私が審査員を務めた関係で出席し,表彰した方々に対して講評した.
そのコメントは以下の通り.

<<<<講評コメント>>>
「Sport in Life」という言葉の通り,スポーツは生活の中にあります.
スポーツは,わたしたちの生活を豊かにしたり,心や身体の健康を保持増進したり,経済を動かしたりするアプリケーションと言っていいでしょう.そう捉えると,LIFE=生活やまちは基本OSです.

アプリケーションとしてのスポーツは,基本OSとしての生活やまちのアップデートに合わせて変化するものです.
応募があった多くの取り組みは,最新版アプリの提案として,とても興味深いものでした.

一方で,今回表彰された取り組みは,アプリとしてのスポーツを先行してアップデートさせることで,基本OSとしての,わたしたちの生き方やまちでの暮らし方そのものをアプデさせる可能性を持つものだったと思います.
今風に言えば,スポーツ・イノベーションがもたらす社会的インパクトの大きさを見せてくれたものだったと言えるでしょう.

古くはスポーツは,体育やスポーツの世界に閉じて発展してきました.無菌室に閉じるからこそ文化としての純度を高めることができたとも言えますが,本来,文化というものは,多様な人々が関わり,時にはバブリーに利用され,時には批判され,それでも,ずっと変わらず平和を問い,人々を救う拠り所になったりして,「手垢にまみれる」からこそ鍛えられ,育つものだと思います.

表彰されたお取り組みからは,いずれもひしひしとご苦労が伝わって参りました.手垢まみれの美しいものだと感じました.
改めまして,表彰された皆様,おめでとうございます.
先進的な取り組みとして,ぜひ他の地域に,「美しい手垢の付け方」を拡げていって頂きたいと思います.

ひとつだけ残念だったことがあります.
全国展開されている取り組みを除いて,すべての取り組みが,私の暮らす岡山よりも東京に近い地域で展開されているものだった,ということです.つまり,まだまだ地方では,Sport in Lifeの取り組みが低調なわけです.
ぜひ,皆様の取り組みを地方へと拡げていってください!
岡山でも好事例が生まれるように期待しています!

審査していて,とても楽しかったですし,勉強になりました.
ありがとうございました.
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Sport in Lifeアワードは今後も続く予定とのこと.
岡山からも好事例が生まれるよう,弊社としても貢献していきたいと思います.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。