定点観測

未来構想メモ②:自給自足・地域循環のスポーツまちづくり?

2回目は,「自給自足・地域循環のスポーツまちづくり」.
前回「脱成長と心・身体の幸福追求のスポーツまちづくり?」の延長線上には,ゼロ成長を前提とした定常型社会がある.

事業規模を拡大することでコストを下げ,競争優位性を確保しようとしてきた規模の経済という原理は破綻が見えている.だから,市場の拡大と支配,グローバリゼーションは崖っぷちだ.一方で情報流通のボーダレス化と価値観の多様化に伴ってコンテンツの差別化も無力になっている.横に拡げるのも,横と比べるのも,もはや無意味だ.

スポーツも似たような状況にある.
グローバル化したスポーツ市場は一部の大企業に支配されていて,多様性を失いつつある.
コンテンツ勝負のスポーツツーリズムは模倣品を生み,価格競争に陥りつつある.
スポーツビジネスの競争は大都市圏優位な規模の経済性から抜け出せず,地域間格差を拡大させている.

たぶん,変化の方向性は次のようなものだろう.
 競争から,協創と共生へ.
 規模の経済から,自給自足と循環の経済へ.
 グローバルから,ローカルへ.
 消費量の増大から,幸福の増大へ.
 コンテンツ消費から,心・身体の充足へ.

自ずと,横へ横へと拡大し,上へ上へと成長しようとしてきたスポーツも,まちも,内へ内へと収束し,底へ底へと根を下ろしていくのではないかと思う.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。