定点観測

理想のまちにほしいもの21:まちに根をはる超挑戦的なベンチャー&スタートアップ

第21回は,「まちに根をはる超挑戦的なベンチャー&スタートアップ」

時代に揺るがない老舗企業と時代を先取る老舗企業が必要だと第19回で書いたが,一方で,老舗企業にはできない超挑戦的な事業に取り組むベンチャー企業やスタートアップ企業もほしい.それらは,まちに根をはっていてほしい.

ベンチャー&スタートアップによる時代の先取りは,まちを一気に未来にジャンプさせるエネルギーがある.
ただ,スタートアップのEXITが,そのまちに本社を置いたままの株式公開(IPO)ならいいのだが,大都市圏に本社を置く大企業への事業売却(Buy out)だとちょっと寂しい.まちに生まれた新しい価値を,まちの資産にしていきたいものだ.

そのためには,新興企業が自由に羽ばたける包容力が,規模の大きな地場企業やまちの側に求められるだろう.スタートアップから事業取得するための経済力と先見性のある地場企業が必要だし,まだ誰も見たことのない価値に対して奇異の目で見るのではなく,ワクワクするまちでありたい.

まちに多様なベンチャー&スタートアップが生まれ,そこで多くの若い世代が活躍できて成長できれば,域外からさらに若い世代が流入してくるはずだ.そうなれば,老舗企業や地場企業も持続可能で潤沢なマーケットが得られるようになる.ベンチャー&スタートアップに対する支援はまちづくりに他ならない.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。