定点観測

理想のまちにほしいもの22:まちの人たちに優しく話題にされるプロ・スポーツ

第22回は,「まちの人たちに優しく話題にされるプロ・スポーツ」.

プロ・スポーツクラブは,まちのスポーツインフラになれる可能性が大きい.
ホームゲームは,まちを定期的にスポーツ祭りの空間に変えるし,プロ・アスリートやクラブスタッフはまちを変える可能性を持っている.ホームゲームでのパフォーマンスやクラブの理念,クラブのカラーによる何らかの表現は,まちで共有できる生活理念や誇りになるかもしれない.

そうしたプロ・スポーツの機能は,クラブがまちの人たちにとって重要な意味をもってはじめて発現する.つまり,まちなかの日常会話に取り上げられる必要がある,ということだ.

多くの人たちにとって,勝った負けたやリーグ内順位がスポーツの話題の中心だろう.
コアなスポーツファンにとっては,ゲームでのパフォーマンスの良し悪しも重要なトピックだ.
しかし,勝敗や順位は相手があることだから,クラブが完全にマネジメントすることは不可能だ.

ここに,まちの人たちの「優しさ」が求められる.
甘さ,ではなく,優しさだ.
スポーツだから勝ったり負けたりするもので,だから楽しめるという考え方に立ち,ホームゲームに臨むまでのプロセスを応援したい.
選手や監督だけでなく,クラブの経営にも関心を寄せたい.まちが抱える課題に対してどのように貢献しようとしているかを評価し,そこにともに参加したい.
もし,不十分なことがあったら叱咤激励すればいい.支援が必要なら手を差し伸べればいい.

勝敗や順位だけでなく,クラブそのものについて優しく話題にされるような取り組みとクラブ・ブランディングができるプロ・スポーツクラブがあるといい.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。