定点観測

赤ペン先生の卒論紹介⑧:学校の先生が自主的に集まる研究サークル

今回は「理科教員の自主研究サークルにおける授業力向上に関する研究」.

岡山県北某市で長年にわたって活動し続けている中学校理科教育の自主研究サークルにおいて,参加する教員がどのように授業力を高めてきたか,をインタビューを通して理解し,今後の自主研究サークルのあり方を検討した研究.

こうした自主研究サークルは,少子化に伴う学校数の減少と小規模化の影響で下火になる傾向にある.研究対象になった自主研究サークルも持続可能性の危機を孕んでいる.
参加し続けている教員のインタビューから,自主研究サークルが授業力向上に資するためには,サークルが同年代教員との出会いと交流の場になり,年齢関係なく互いに学び合える学習共同体として機能し,日々の授業での困り感やすぐに使える授業テクニックを共有できたり,そこで得た知識や情報を自分なりに工夫する余地が残されていたりすることで,理論と実践の往還や興味・好奇心,使命感が喚起されることが必要であることが明らかになった.

今後は,少人数であることのメリットを最大化しつつ,働き方改革の文脈に自主研究をしっかりと位置付けることが必要だ.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。