定点観測

椎名林檎ファンだけど,ファン心理は分からない

昨日帰宅すると,予約していた東京事変のニューアルバム『音楽』が届いていた.
十数年来の椎名林檎ファンだから,東京事変も第一期から追いかけている.今作は東京事変名義のフルアルバムとしては10年ぶり.発売のプレスリリースから待ちに待った.

iTunesでも購入できるのだが,椎名林檎と東京事変については必ず初回限定版のCDを予約購入することにしている.「している」というより「購入することに ”なっている”」と言う方が適当だ.無条件かつ無意識にポチっとしているから.

コア・ファンだから,と言えばそれまでだが,わが事ながら不思議だ.
コレクター気質が強いわけではないし,これまでの全てのCDジャケットを並べて鑑賞するようなことはない.(椎名林檎作品はどれも鑑賞に値するデザインだ!)
初回限定版に付属してくる特典(今回は写真帖『仕事中』ほか)を見返すこともほぼない.
そもそも,すぐさまPCとスマホに取り込むから,二度とCDを再生することもない.
それなのに,iTunesで購入すると2,139円,初回限定版CDを購入すると4,500円….

後々冷静になると,「(無駄遣いじゃないか…?)」と(ほんの少しだけ)思うけれど,無駄か無駄じゃないか,という判断以前に購入の意思決定が行われるから仕方がない.

スポーツの愛好者や地元クラブのファンが増えたらいいなぁ,と思う.
そういうことを考えるのも仕事の内なのだが,そう簡単にはいかない.
自分が椎名林檎ファンになったプロセスを回想すれば,コア・ファン拡大戦略のひとつも立てられそうなものだが,よく分からない.
ファンや非ファンとの対話を重ねて,マーケティング・データを広く集めて,やっとなんとなくファン化する経験と心理のプロセスが理解できたような気がして,ひとつふたつ意味のありそうなアイディアが出てくる程度だ.なぜなら,人が何かのファンになるプロセスは,人の数だけ多様だから.

結局,自分のことすら自分ではよく分からないのだから,他人のことなんていよいよ分からない,という話だ.だから,人は面白いし,スポーツ経営は面白いんだろうと思う.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。