定点観測

七夕とまち

七夕飾りをよく見かける季節になった.今日は七夕だ.

七夕の起源や風習についてはWikipediaに譲るとして,こういう季節を感じる風景はとても好きだ.
どこか,落ち着く気がする.サウナ的な「ととのう」感じかもしれない.

わたしたちは時間の中に生きている.
日が昇り明るくなれば身体も心も動き出すし,日が落ちて暗くなれば眠くなる.
春夏秋冬で気分は変わるし,食べたいものも飲みたいものも変わる.

この変化は,日の光や七夕飾りのような外部環境の変化によるのではなく,わたしたちの脳と細胞の中にある「時計」によって起こっていることが分かっている.「体内時計」や「体内カレンダー」と呼ばれるもので,アサガオが朝になると咲き,桜の花が春になると咲くのと同じ仕組みだ.(アサガオは真っ暗な中に置いても朝が来ると咲く)
わたしたちの脳の視床下部にある視交叉上核(目の奥のあたり)に中枢となる時計が存在している他,全身の細胞の中にも自律的に動いている時計がある.だから,血中コレステロール値が最も高くなるのは13時頃だし,血圧や体温が高くなるのは16時頃,自然分娩は夜中から早朝とおよそ決まっている.お昼ごはんや晩ごはん時間になるとお腹が減るのは,胃腸や肝臓の中の時計がアラームを鳴らすからだ.

まちに流れる時間と,わたしたちの体内時計は合っているだろうか.
「眠らない街・東京」などとよく言うが,「ととのわない」感じがする.
熱海で大規模な土砂崩れがあった.半夏生や七夕の季節に降る雨は,大雨になることが多いそうだ.
季節や時間を細胞レベルで感じる感覚を持っていたいものだ.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。