定点観測

豪雨とスポーツとまち

各地で豪雨の被害が出た.
鉄道も道路も各所で止まった.

社会インフラは自然災害の脅威に晒されている.
スポーツも同様.
ウィルスの蔓延で世界最大のスポーツイベントが無観客になってしまいそうだ.
 本来なら,多くの人が世界最高峰のパフォーマンスを間近に観て,感動を感じたはず.
 世界中から観戦者がやってきて,日本全国を観光に回り,大きな経済波及効果があったはず.
 各国代表チームが,全国各地で事前合宿を行い,地元の子どもたちと交流していたはず.
 大会会場ではスポンサー企業のショーケーシングが予定されていて,イノベーションの見本市になったはず.
すべての「はず」が消えてしまった.

感染拡大防止策の失敗を人災と捉える向きもあるだろうが,やはりウィルスの蔓延は自然現象だろう.
想定外の豪雨災害を防ぎきれなかったのと同じように,想定外のウィルスの変異を防ぐことは難しかったのだ.

しかし,自然災害後のハードインフラはより強固になる.
堤防を再構築し,川の流れを変え,水害に強いまちが作られる.
3年前の西日本豪雨災害からの倉敷市真備地区の復興計画は毎年改訂を重ねられて今も続いている.

ウィルス蔓延後のスポーツインフラは,どう強固になるのだろう.
 スポーツイベントは?
 地元のトップスポーツクラブの経営は?
 スポーツ施設の経営は?
もうそろそろ,スポーツのコロナ禍復興計画を立案し始める必要があるだろう.
スポーツ関係者だけでなく,市民・県民,企業,行政がアイディアを出し合う場が必要だ.

※写真は3年前の7月16日.岡山県内のすべてのトップスポーツクラブが合同で行った西日本豪雨災害への支援金募集の様子.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。