定点観測

蝉とまち

蝉が元気に鳴いている.
夏がやってきた.

まちは音で溢れている.
車の走行音,人の足音,人が話す声,お店から流れて出てくる音,建物の間を吹く風の音,木々が揺れる音,鳥や虫の鳴く声.

こうした音の混ざり合い方は,まちのカタチで変わる.
都市の中心部では人工的な音が多くなるし,中山間地域では自然音が多くなる.海沿いには波の音というレア音が混ざるし,雪深いまちには雪が積もる音が混ざってくる.
どんなふうにミックスされた音に包まれていたいか,という視点でまちをデザインしてみるのも楽しそうだ.

人工音ばかりが溢れるまちに住み続けたいとは,あまり思わないなぁ.
でも,自然音しかない地域にずっといると,寂しくなる気もする.

刺激と癒しのバランスを取る方法は,ちょうどいい地域を見つけるか,二拠点生活を実行するか,あるいは都市中心部の中に豊かな自然を内蔵させるか,だろう.
いずれにしても,選んだり,創ったりするのは楽しそうだ.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。