定点観測

「スポーツ×〇〇」のアイディア

今日は,岡山市環境局と「スポーツ×エコ」に関わる市の事業について打ち合わせだった.

岡山市による環境関連事業は多岐にわたる.ゴミ処理や産業廃棄物処理,し尿処理,まちの清掃などから,環境保全や環境保護に関わる生物多様性,再生可能エネルギーや新エネルギー,地球温暖化対策などなど,文字通り環境に関わることすべてを統括している.
その中でも,環境保護啓発を所管する部局から,岡山市を拠点にするトップスポーツクラブと連携できないか,という相談をおかやまトップスポーツ協議会(おかやまスポーツプロモーション機構内の諮問機関)として受けた.

予算要求の段階で行政から相談を受けることは有難いことで,連携を持ちかけられた側としては逆提案する余地が残されている.
トップスポーツクラブが環境保護運動を大きく推進させることはできないが,啓発のためのメディアとしては大きなポテンシャルを持っていると思っている.
トップアスリートが「環境を守ろう!」とマスメディアや動画でPRするというのは,(一定の効果はあるだろうが)あまり面白くない.
楽しさで衆目を集めることができるスポーツが,環境保護に関わるメッセージを人から人へ伝える媒体(メディア)になったり,環境保護というテーマ・コミュニティの絆をスポーツを媒介にして強固にしたり,あるいは,スポーツが環境保護という公共的なテーマを抱えることで,それまで広告効果や社会的責任(CSR)を根拠にしていたスポーツへの支援や協賛に新たな意味を付け加えてもらうことで,スポーツ支援を環境保護運動への支援につなげることもできるだろう.

「スポーツ×エコ」だけでなく,スポーツと連携することで従来の取り組みの幅を拡げたり,効果性を高めたりすることができるだろうし,回りまわってスポーツの公共性も高まり,スポーツのスポーツインフラ化が進む.工夫の余地はたくさんある.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。