定点観測

スポーツの価値の天井を破る

今日は,某町のスポーツ推進計画策定の会議だった.
私にとっては,今回で5本目の計画策定になる.

この町では,スポーツ政策は生涯学習課が所管しているから,事務局が素案として示した計画の方向性は町民だけを対象にしたものだった.
町の計画だから,それはそれで正しい.町民のスポーツライフをどうするか,ということが計画の本流だ.

しかし,ひとつの支流として,スポーツを通して町がどう元気になっていくのか,というスポーツ振興の非スポーツへの波及効果のようなものを計画の範疇に入れる必要があるやなしや,ということが会議で議論になった.

元々,町外者を呼び込んでスポーツイベントを開催するようなことが低調な町だった.だから,スポーツ振興が町民のスポーツライフ以外にどのような波及効果をもたらし得るか,という発想を生涯学習課が持つことは難しかっただろう.

まだ議論が続いているので,結論は出ていない.
まちづくりは求心力と遠心力の両方が必要だ.町民のスポーツライフを豊かにしていくのは求心力を高める方向で,スポーツ振興によって町外に町の価値を発信したり,町外者を呼び込んだりするのが遠心力を高める方向だ.

この町にとってのスポーツ振興の公共的・公益的価値の天井を破ることができたら,さらにスポーツの大切さが認識されるだろうと思う.その方向で議論を続けたい.

髙岡 敦史

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髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。