定点観測

ここは本来どういう場所だっただろう?と未来を見通す

研究室のすぐそばに,隈研吾建築ができるらしい.

隈研吾建築のすぐそばに自転車を停めて出勤することになるなんて,贅沢なことだ.

建築予定地は元々自転車置き場だった場所で,すでに更地にされて,建築スペースにはロープが張ってある.案外小さく感じるが,建物ができたらそれなりに大きく見えるのかもしれない.

建築好きが高じて,隈研吾建築を見るためにあちこち行った.
JPタワー
浅草文化観光センター
アオーレ長岡
スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店
梼原 木橋ミュージアム
まちの駅「ゆすはら」
梼原町総合庁舎
サニーヒルズジャパン
湯の駅おおゆ

これまで訪れた隈研吾建築はどれも,建築物がその場所に元々あって掘り返されて出てきたかのような「宿り」を感じる.
建築を語れるほど知識はないが,フィールドワーカーとしての氏の視線や,生活や地域の歴史,自然環境に耳を澄ますエスノグラファーとしての氏の姿勢からくるものだろうと思うし,社会科学者として勝手に親近感を感じている.

新しい建物を作るという仕事は,そこになかった物をそこに置くことに他ならないが,「ここはどういう場所なんだろう?」,「この場所がもつ意味とはなにか?」,「ここは本来どういう場所だっただろう?」と問いながら建物を作るというのは,過去から続く現在を理解し,未来につなげる仕事なのかもしれない.

そういう仕事の仕方は,「モネちゃんの悩みから社会科学を考える(2021.10.14)」にも書いたように,まちづくりの当事者になる社会科学者と似ている.

「共育共創コモンズ」の完成が楽しみだ.

髙岡 敦史

WRITTEN BY

髙岡 敦史
スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。