スポーツ栄養事始め② 栄養もチームワークが大切!
最近、SNS等で食事を発信するスポーツ選手やその家族も増えてきました。オリパラの選手村の食事会場の様子もかなり発信されていて、以前に比べると選手たちがどんなものを選んで食べているか、知る機会が増えたように思います。選手にとっては、食事もトレーニングの一部であるという面もありますが、その中でも楽しんで食べている様子が見られます。
選手や保護者、指導者に「試合の時は何を食べたらいいですか?」とよく聞かれるのですが、試合の時だけ気を付けるのでは、良いパフォーマンスを発揮することはできません。なぜなら、人間の体は、食べたものを材料にして作られていて、さらに常に作り替えられているからです。また、食べ物から得たエネルギーを使って体や脳・心臓を動かし、体温を保ち、呼吸をしています。ベストパフォーマンスを試合で発揮するためには、体に必要な栄養素を毎日の食事からバランスよくとって、体を作り、けがを防いでベストな状態で練習をし、試合に向けて技術の向上と心身の安定、コンディション調整を積み重ねていかなければならないのです。
スポーツ選手の基本の食事スタイルは、「主食」「主菜」「副菜2品(もしくは副菜と汁物)」「牛乳・乳製品」「果物」の6品を毎食そろえることから始まります。
主食・・・ごはん・パン・めん等 (運動中のおもなエネルギー源となる)
主菜・・・肉・魚・卵・大豆製品等を使ったメインのおかず(筋肉や骨の材料となる)
副菜2品・・・野菜、海藻類、きのこ類、いも類などを使った付け合わせやあえ物・汁物等のおかず(ビタミンやミネラル、食物繊維の補給)
牛乳・乳製品・・・カルシウム・タンパク質等の補給
果物・・・ビタミン等の補給
この6品をそろえることによって、栄養バランスが整い、ボリュームのある彩りのよい献立になります。「栄養もチームワークが大切!」であり、それぞれが役割を果たし補い合うことで、栄養素としての力を最大限に発揮することができるので、いろんな食品をとる必要があるのです。世界で戦う選手たちもこのスタイルを基本に食事を組み立てており、国立スポーツ科学センターのレストランR3でも同じような献立構成になっています。
「そんなに毎回、6品もそろえられないよ・・・」という声が聞こえてきそうですが、ちょっと上手に手抜きもできちゃいます。例えば、カレーライスだと、カレーの具材として肉と野菜を使っており、「主食+主菜+副菜」と考えることができるので、あとはサラダとフルーツヨーグルトを組み合わせればOKです。クリームシチューだと「主菜+副菜+牛乳・乳製品」と考えられるので、パンとミニトマトとバナナを足せばよいでしょう。
ジュニアアスリートの場合は、学校給食の組み合わせを参考にしてください。食事の中ではとりにくい、牛乳・乳製品や果物は補食としておやつの時間に食べてもいいですね。6品をそろえることを意識するだけでもずいぶん食事内容が変わってきますよ。LIFESに掲載しているレシピもこの分類に沿っていますので、献立を考える際にはぜひ参考にしてください。